蟹の慰めの書

本の感想などを綴っていきます。

個々人の道

人間の成長にとって、万人に共通する絶対の道は無い。

人間が救われる方法は組織宗教への従属ではなく、自らの内なる声に従うことである。

ゆえにある人にとっては宗教家の道が、またある人にとっては職業人の道が、ある人にとっては芸術家の道が、その人を救いに導く正しい道なのである。

 

うろ覚えだが、OSHOが『エンライトメント』でそんな事を言っていた気がする。

この人の教えはだいたいそんな感じで各々勝手にやれという考えなので(ニューエイジ以降の最近の神秘家に共通する考えかもしれないが)現代人の感覚にとって受け入れやすいと思う。

 

エンライトメント―ただひとつの変革 神秘家・アシュタヴァクラ

エンライトメント―ただひとつの変革 神秘家・アシュタヴァクラ

 

 

しかし私はと言えば、自分の内なる声がどうもはっきりせず、あれをやったりこれをやったりと二転三転している。

そうやって迷った挙句切羽詰まって秘教哲学やスピリチュアリズムにも手を出してみたのだが、それらを頭から信じられるほどの純真さも持ち合わせていないのだ。

どうも自分は今生でひとかどの人間になることは出来そうにない。

 

輪廻転生が真実なら、この傾向は生まれたばかりの若い魂のありがちな傾向なのかもしれない。

つまり様々な分野をつまみ食いすることで、自分に合った道を探す段階なのだ。

そうだったら少し納得がいく。

 

OSHOは頗る評判の悪い人間だが(ネットで彼の本名である「ラジニーシ」と検索すればすぐにわかる)著作を読む限りではそんなにカルトかなあと首をかしげざるを得ない。

私は単純に、説話が面白いので気に入っている。

ゾルブッダという生き方の推奨も、スピリチュアリズム一辺倒にならずに現世も大切にして生きましょうよという感じで、バランス感覚がある方だと思うのだが。

彼個人の問題というより、心に問題を抱えていた厄介な人が救いを求めて集まってきた結果、教団が過激化してしまったのかもしれない。